PROJECTS

YOIN

「技法と歴史が奏でる“余韻”を味わうスピーカー」

EASTERN SOUND FACTORY社(以下ESF)との共同により、スピーカーユニット〈Yoin〉を製作しました。

輪島塗の下地塗で使われる“地の粉”を漆に混ぜて塗布。これにより、渋みのある洗練された外観と音質の向上を実現させました。

地の粉とは、珪藻土と呼ばれる植物性プランクトンの化石化したもので、微細な孔を多く持つという特徴があります。この微細な孔がノイズを吸収し、音に豊かな深みと落ち着きを与えると共に、波形の歪みをなくすことで、より忠実に音色を再現することが可能となりました。

余韻――

音が消えたのちも、なお耳に残る響
事が終わったのちも、なお残る風情や味わい
転じて、文学や詩文の世界では言外に残る趣や風情
または、印象的な味わいが残り続けることの意

【 スピーカーユニット SPEC 】

         YOIN
形式         同軸型2ウェイスピーカー(バスレフ式)
ウーハー       10cm極薄・軽量アルミニウムコーン/ウレタンエッジ
ツイーター      2.5cmソフトドーム
磁気回路       ネオミジウムマグネット
許容入力       40W
最大入力       60W
インタービンス    4Ω
感度(1m/1W)   81db
周波数特性      55Hz~22kHz
クロスオーバー    4.3kHz
キャビネット     MDF 漆
寸法(縦×横×奥行き)  210mmx210mmx210mm
重量         2.5Kg

【 製作工程 】

1)素地の吸水性を防ぐために生漆を染み込ませる
2)ムラをなくすために和紙で余分な漆を拭き取り、研ぐ
3)漆と米糊と珪藻土を混ぜたものを塗り、研ぐ
4)生漆を塗る。さらに、漆と砥の粉と水を混ぜたものを塗って研ぐ。表面が平らになるまでこの作業を繰り返す
5)漆が乾かないうちに珪藻土や石の粉を吸着させ、表面の処理を施して完成

【 展望 】


私たちが〈Yoin〉に込めた思い……。

それは、これまであまり表舞台に出ることのなかった下地塗の素材と技法を用いて、“漆芸の新たな可能性”を実現すること。

現在、JAFは〈Yoin〉に続く以下の五つのスピーカーユニットの製品化を検討しています。

  

Ⅰ 地の粉 ―JINOKO― 地の粉(珪藻土)を漆の上に蒔く

Ⅱ 布着せ ―NUNOKISE― 米糊と漆を混ぜたものを麻布に塗り込み張り付ける

Ⅲ 紙着せ ―KAMIKISE― 米糊と漆を混ぜたものを和紙に塗り込み貼り付ける

Ⅳ 惣身 ―SOUMI― ケヤキの粉を焼いたものを漆の上に蒔く

Ⅴ 錫粉 ―SUZUHUN― 錫粉を漆の上に蒔く


外見の目新しさや美しさのみならず、キャビネットに各々の処理を施すことで音色にどのような効果や変化をもたらすのかを科学的に分析、検証することで、実用性も充分に兼ね備えた製品に仕上げたいと考えております。


製作決定の有無、並びに進捗状況など、随時更新して参ります。

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